作りたいものが曖昧でも相談していい。依頼前に整理すると伝わりやすい5つのこと

公開

要件が完璧に固まっていなくても相談はできます。ただ、少しだけ整理してから話すと、必要な機能も進め方もかなり見えやすくなります。

「こんなものを作りたい気はするけれど、まだ言葉にできない」「依頼したいけれど、何をどう伝えればいいのか分からない」。こういう状態は全然おかしくありません。むしろ、相談の入口ではかなり普通です。最初から綺麗な仕様書を持って来る人の方が少ないです。

問題なのは、曖昧なことそのものではなく、曖昧なまま全部を丸投げしてしまうことです。作る側としても、相談する側としても、最初の会話で少し整理されているだけで話の精度がかなり変わります。何が必要で、何がまだ不要で、まずどこまで作るべきかが見えやすくなるからです。

以前の MVPで削るべき機能の話 や、MVPからリリースまでを早くする話 にもつながりますが、公開が遅くなる原因は実装量だけではありません。最初の相談段階で話が散っていると、その後の見積もりも仕様も全部ぼやけます。

だから今回は、作りたいものがまだ曖昧な人向けに、「依頼前にこれだけ整理しておくと伝わりやすい」という5つのことを書きます。完璧に埋める必要はありません。ざっくりでいいので、この5つを持っているだけで、相談はずっと前に進みます。

この記事の要点

  • 作りたいものが曖昧でも相談して大丈夫です。ただし、丸投げではなく、見えている範囲の軸を持って行く方が話は進みます。
  • 整理しておきたい軸は、誰向けか、何が面倒か、できたら何が変わるか、最初はどこまでで十分か、いつまでにどの温度感で進めたいかの5つです。
  • この5つがあると、必要な機能と不要な機能、まず作るべき最小単位、見積もりの重さがかなり見えやすくなります。

誰のためのものか

最初に整理したいのは、「誰向けのものなのか」です。ここが曖昧だと、良さそうな機能が際限なく増えます。個人向けなのか、社内向けなのか、自分ひとりが使うものなのか、同じ悩みを持つ人たちに広げたいのか。この違いだけでも設計はかなり変わります。

たとえば、自分だけが使うツールなら、見た目を多少削ってもいいかもしれません。逆に他人に触ってもらうものなら、初見で迷わない導線が必要です。過去に作ってきた Project一覧 の中にも、自分の不便から始まったものと、人に渡す前提で整えたものがありますが、この差は最初の想定ユーザーでかなり決まります。

相談の時は、「みんなに使ってほしい」よりも、「まずはこういう人に使ってほしい」の方が伝わります。一段階具体的になるだけで、必要な機能と不要な機能の境界がかなりはっきりします。

何が一番めんどくさいのか

次に必要なのは、「何に困っているのか」です。ここは理想の未来を話す前に、今の不便を言葉にした方が強いです。毎回コピペが多い。確認が面倒。情報が散っている。通知に埋もれる。何でもいいですが、現実の面倒が見えている方が作る意味ははっきりします。

このサイトでも、自分の制作物は「こういう世界を変えたい」から始まったというより、「これが不便すぎる」が出発点になっていることが多いです。前回の 自分の不便からネタを見つける記事 でも書いた通り、ネタの芯は理想より不便の方にあります。相談でも同じで、夢の話より、毎日どこで詰まっているかの方が大事です。

相談前に「何が面倒か」を一文で言えるようにしておくと、作る側はかなり助かります。課題が分かれば、全部入りの提案ではなく、そこを先に潰す構成にできます。

できたら何が変わるのか

「誰向けか」と「何が面倒か」が見えたら、その次は「できたら何が変わるか」です。これは機能の説明ではありません。使った結果、どんな変化が起きてほしいのかを整理するということです。作業時間が減るのか、抜け漏れが減るのか、説明が楽になるのか、問い合わせが増えるのか。この視点がないと、機能を作っても評価軸が曖昧なままになります。

依頼する前にここまで整理されていると、相談の質が上がります。「チャット機能がほしい」ではなく、「連絡の往復を減らしたい」が分かっていれば、別の手段の方が早い可能性もあるからです。作りたいものに執着しすぎるより、変えたい状態を見せた方が、結果的に良い提案にたどり着きやすいです。

これは About me に書いている自分の姿勢にも近いですが、作ること自体より、その先で何が変わるかの方を見たいと思っています。相談の時点でそこが共有できると、受託でも個人開発でもかなり進めやすいです。

最初はどこまでできれば十分か

ここが抜けると、だいたい話が重くなります。最初から完成形を全部作ろうとすると、相談はすぐに大きくなり、予算も期間も読みにくくなります。だから「最初はどこまでできれば十分か」を切り分けるのが大事です。

たとえば、「まず自分だけが使える形でいい」「まず1ページで試したい」「まずCSVが読めればいい」みたいな線引きです。これがあると、作る側はMVPの形に落とし込みやすくなります。逆にここがないと、相談の場で便利そうな機能を足し続けてしまい、最初の一歩が遠のきます。

機能を足すのは後からでもできます。でも、最初の公開や最初の運用は一回しかありません。相談前に「最初の成功条件」をざっくりでも持っておくと、必要以上に重い見積もりになりにくいです。

いつまでに、どの温度感で進めたいか

最後に意外と大事なのが、スケジュールと温度感です。急ぎなのか、まず壁打ちしたいのか、数週間で試したいのか、長めに整理してから進めたいのか。ここが共有されていないと、同じ内容でも会話のテンポが噛み合いません。

依頼前に「急いでいます」と言うだけでは弱くて、「来月の公開を目指している」「まず今月中に要件を固めたい」くらいまであるとかなり伝わります。逆に、まだ温度感が低いなら、それも正直に言った方がいいです。いきなり実装の話をするより、まず整理の相談から始める方が合っていることもあります。

このあたりは、フリーランス側が売っているものは信頼だという 前回の記事 ともつながります。要件だけではなく、進め方の感覚が合うかどうかはかなり重要です。だからこそ、相談前に温度感まで言葉にしておくと、その後のズレが減ります。

曖昧でもいい。ただ、曖昧な場所を自分で知っておく

ここまで5つ書きましたが、全部を完璧に埋める必要はありません。むしろ大事なのは、「まだ決まっていない場所」を自分で把握していることです。誰向けかは見えているけれど、最初の機能がまだ曖昧。困りごとは明確だけれど、公開時期はまだ決めていない。こういう整理でも十分です。

相談というのは、決まり切ったものを発注する場だけではありません。曖昧なものを少しずつ形にしていく場でもあります。ただし、その時に最低限の軸があるかないかで、会話の進みやすさがかなり変わります。要件を固めるために相談するのは全然ありです。でも、完全に他人任せにせず、自分の中で5つの軸を一度眺めておくと伝わり方が段違いになります。

もし相談したい内容がまだぼんやりしているなら、まずは 作ってきたもの自分の考え方 を見てもらえると話が早くなります。その上で、「誰向けで」「何が面倒で」「できたら何が変わって」「最初はどこまでで」「いつ頃どう進めたいか」を軽く添えて Contact から送ってもらえれば大丈夫です。曖昧でも相談していい。ただ、少し整理してあるだけで、その曖昧さは前に進む材料になります。

よくある質問

作りたいものが曖昧でも相談していいですか?

大丈夫です。最初から完璧な仕様書を持って来る人の方が少ないです。ただ、誰向けか、何に困っているか、できたら何が変わるかなどを軽く整理しておくと、相談はかなり進めやすくなります。

依頼前に最低限整理しておくべきことは何ですか?

誰向けか、何が一番面倒か、できたら何が変わるか、最初はどこまでできれば十分か、いつまでにどの温度感で進めたいか、この5つです。全部完璧でなくても軸が見えているだけで伝わり方が変わります。

仕様書がなくても相談できますか?

できます。むしろ相談の中で要件を整えていくことも多いです。ただし、曖昧なまま全部を丸投げするのではなく、自分で見えている範囲の不便や目標を一度言葉にしておくと、必要な機能と不要な機能を切り分けやすくなります。